成人向漫画の需要「性癖と酒池肉林」について

自分は成人向け漫画もいろんなプラットフォームで色々と作ってきたので、ここで俯瞰的な記述をまとめておこうと思う

とはいえ、プラットフォームは雨後の筍のように現れてくるのであり、エロの需要は本当に多彩で強い。あくまで今の時点(2024年)の認識ということになる

エロを商業的にやる場合の需要のうち、最も強いのは「性癖」に関するものであり、もう一つが「酒池肉林(ハーレム)」というものになる。他にも色々とあり得るが、多くの人が需要し或いはお金が動くのは

多くの人が「エロ」と聞いてイメージするのは酒池肉林のほうだろう
古い時代の皇帝や王侯貴族が女性を集めて優越的意識に浸る、それは映像であれ漫画であれ欲しがられるものだ。一方、性癖というのはもう少し後ろ暗い。「このようなもので興奮するのだ」と多くの人が驚かされるようなもので強く性的興奮を覚え、そのためにならお金を払っても良いと考える。SMやロリータ、レイプ、寝取られなどである。

現状、エロについてはプラットフォームがほぼWEBに移り、性癖に関する経済がとても強くなっているように感じる。紙媒体のみの時代、両者はほとんど区別なく同居していた。送金が普及して少ないユーザ数でなり立つ経済である性癖が台頭した構図だろう

性癖は個人間が主体のため、所謂「大儲け」は難しい代物であることが弱点である
ユーザー数が少ないことが前提だからだが、そのために企業は手を出しづらく盤石さもある
狭いコミュニティを構築することはSNSと相性が良い

一方、酒池肉林はいかにも資本主義的でかつ権威主義的である
性癖に真にコミットしている必要はなく(言ってしまえば”やってみた”でいい)、ただラグジュアリーなクオリティ感で見る側に優越感を与え、お祭り的な雰囲気を作ることが課題になる
問題は、(性癖に対しては非本質的な)クオリティ感に盲目的に労力を払う必要があって作画コストが重い。これを真っ当にやるには資金を用意してスキルのある人材で人海戦術をやることがゴールになるし、さらに酷いと「資金を用意して対価を適切にスタッフに払わない」ことさえ起きてしまう
旗を振るものもない、「良いものを献上してこい」とふんぞり返る精神がゴールである

いずれまた別の潮流が起きてくるだろう、それは何になるか、まだわからないが