興味が湧いたのでベルリン・オリンピックのDVDを観た
故淀川長治が冒頭で解説してる、「ナチスはやるなら徹底的にやるんですね、すごいですね、すごいですね」
…ん?
「やるなら徹底的に」…その精神の作品には、人を魅了する魔力が宿る
しかし、ベルリン・オリンピックの成功はナチスのその精神だけでなく金融家シャハトの力が大きい。つまり、それをやるだけのお金があった
お金がなくて、ナチスの大事業は成り立っただろうか?
「やるなら徹底的に、ただし、お金は出さない」
そんな空気は、漫画家やアシスタント、志望者、アニメーター、イラストレーター…アーチスト界隈には嫌というほど充満している。いや、他の業種でだってあちこちに散見される、いまでも。僕らの上の景気の良かった世代だけじゃなく、もっと下の世代にも
今はお金になっていないが、やるなら徹底的にやる、この精神で作って、成功すれば回収される
大丈夫だ、信じろ、「やるなら徹底的にやれ」の魔力を信じろ
そういう風にして破滅に進んでいく人も何人も見てきた
日本は明治維新期から大戦期までドイツに学んだところが多く、「やるなら徹底的に」精神を強く引き継いだところがあるように思える
だからいまでもそういった精神の影響が続いてるのではないだろうか
ただし、景気の良かった頃はともかく、今はお金の方はさっぱり無くなったようだが
2010年くらいから、ポピュリズムが台頭してきた
冷静にみれば、大勢集まってのただのから騒ぎではある
どんなに囃し立てられても、良くないものが良いモノになるわけはない
直感的にもそれはすぐわかる
「○○○がSNSで話題だから読んだ、そんなに面白いとは思わないけど、みんな読んでるみたいだから」
最近よくみかける、話題作の感想、斜に構えてるわけじゃなさそうだ
こうなってきたのは、「やるなら徹底的に、ただしお金は出さない」の空気から、皆がいいかげん距離を置きたがっているからなのかも