秘密の一週間

同人誌に活動を絞っていくうちに東方以外の作品も作るようにしたいと考えていました

商業誌で描いていた「憧れの女」のスピンオフとして秘密の一週間をやることを決めました

大学生ヒロインのさおりが詐欺師の男にたぶらかされてしまうお話が「憧れの女」の中であり、一週間、その男と過ごしたというストーリーです。商業誌の方でこの作品は結構アンケートが良かったこともあり、1回スピンオフをやるのはOKという話は元々ありましたが、結局商業ベースでは書きませんでした。

何となく、そこに「可能性」みたいなものは感じていました。

一回で商業短編として描いて終わらせるのは惜しいという気持ちが。

委託書店が二次創作依存の状況を脱したくてオリジナル作品に力を入れたいという事情はわかっていましたし、寝取られ作品が当時はそこまで大きなジャンルになっていなかったけれども、需要が明らかにあるということも。そして、その感触が、明らかに当時の編集者たちと共有できそうにないと感じていたことも。

それでも同人誌としてぽこっと出したところで、島中の目立たない場所で売って、そしてスーッと消えていく流れは予想ができていました。

「憧れの女 秘密の一週間」の最初の巻は夏コミで東方の同人誌と一緒に出しました。新刊2冊でした。秘密の一週間の方は記憶が曖昧ですが1000部刷って書店とイベントで半々にしたと思います。

イベントの方は普通の売り上げだったのですが、書店の分は速攻で売り切れました。気合い入れてハイクオリティにするのは避けていました。単行本の発行から考えるとだいぶ日が経っていましたし、作品を覚えてくれている人が買ってくれるとは思わなかったからです。

流石に少なすぎたか、と思っていました。特に書店でも目立った位置に置かれていたわけでもなさそうでしたが、ひとまず悪くない反応だと感じ、次のコミケで#2を作りました。#2も即売会で飛ぶように売れたという感じではなかったのですが、書店分はすぐに売り切れました。そこでひとまず#1も再販するようにしました。

その時はっきりと感じたのは書店で買う人と即売会で買うような人は、全然違うということでした。ある大手サークルの人に、「うちは書店とイベントの比率は10:1くらいだ」と言ったら、「そんなことありえない、うちは1:1くらいだ」と言われました。秘密の一週間に至っては30:1くらいの開きがありましたが、もはや話す気も起きませんでした。彼の「ありえない」という言葉に違和感しかなかったのですが、聞いてもらえそうもないのはわかったし、何より傲慢な雰囲気にうんざりしてしまいました。存外、目立って売れている立場の人の知見なんてそんなもんだなと思うようになりましたし、何より小さいところから始めるなら、そう言った人の意見はあてにしない方が良いということを知りました。

秘密の一週間は、1冊あたり7000を超えていましたが、無理にイベントで売ることには拘らず、ひっそりとやり続けることにしました