少し脱線する感じになるけど、治験に参加したことについて書きます
治験というのは健康な人に参加してもらって薬の効果を確めるというやつで
謝礼にはなかなかの額がもらえます
アシスタントやめてから、成人向けの商業漫画をはじめてちょっと経つまでお世話になりました
ほとんど何もしなくてもお金がもらえる、といえば美味しそうな話のように聞こえるかと思います
病院で過ごしている間は暇なので絵を描いたり話を考えたりできるな、とはじめは考えていたのですが
高額のものは長期に入院する必要があり、かといって短期だと「これなら、バイトしてたほうが…」という
ほどあまり貰えない感じだったのです
事前検査があり、健康である人を選別するのですが、ハードワークに原稿作業してるとあっさりと落ちてしまいます
結局漫画描きにとってはあまり相性がよくないな、と思い、使わなくなりました
だいたい参加者は暇そうな大学生、20代なかば以降の人はほぼいませんでした
そういった人たちのなかには、テレビのADをやってた人とか、音楽をやっている人とかがいて
ぼくはお仲間みたいな感じで話すようになりました
今はソーシャルな環境があるせいで、異なる業界に人たちと繋がる機会がありますが、当時はそういった人たちは別世界の人で
ひどく新鮮な感じがしました
音楽CDを2枚だしたけど売れなかったらしい人、バンドをやってて結構イケメンでした
バンドといざこざあって別れて、スタジオミュージシャンを目指しはじめた人
オタクで歌手を目指しててアニソンが上手かった人
音楽関係者は多い気がしました
隣のベッドにいた人は少し年上のテレビ業界の人でした
葉加瀬太郎みたいなもじゃもじゃ頭の長身
彼は漫画に関しては詳しくなさそうでしたが、ジブリアニメは好きみたいでした
いつもオーバーアクションで、単身インドで旅行してきたといっていて、病気にかかって死にそうになったことや、
英語の通じない田舎に行って放浪した時もノリだけで乗り切ったこととか、ネタに話していました
音楽やイラストと違い、そっちの世界の人間はスキルが武器ではないので、自分自身をネタにすることを信条にしているようでした
今思えば、彼とはもう少しつながりを持つべきだったのかな、と後悔もあります
漫画はツールやネット環境での情報共有によってハードルがどんどん下がっていっています
技術が武器にならなくなるなら、学ぶべきはこういった人からだろう、と